芹沢高志の混浴温泉世界日記

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撤収作業も終わっていく

きょう、チャン・ヨンヘ重工業のビル外壁作品を撤去して、撤収作業もほぼ完了。長いような短いような65日間だった。

走りながら実感したことではあったけれど、今回は自分にとっても刺激的な経験だった。アーティストたちと場所の力を引き出すために触媒的なアートを展開したので、美術展というよりはソフトアーバニズムの色彩が強くなっていったように思う。リーマン・ショック以後のアートの方向性を模索してみたつもりではある。

別府は日本近代化の記憶のアーカイブとして、非常に魅力的だ。イベントとしての「混浴温泉世界」は終了したが、今ここに生まれた世界そのものは終わりはしない。
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鉄輪に泊まる

6月になったら、火曜〜金曜の朝10時30分から鉄輪のツアーをすることになったので、その偵察もかねて、かしま旅館の陽光荘に泊まってみる。かしまというのは貸間、湯治を目的とした長期滞在者用の旅館だ。自炊用の調理場があるが、ここは鉄輪。すべてがスチームで、地獄蒸しの釜が並んでいる。最高!

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インゴ

もう、ほんと忙しくて、ブログなんか書いてるどころじゃなかった。
やっと気持ちだけは一段落、今日はすごくいい天気だ。
インゴ・ギュンターがP3の伊藤忍と来てくれる。

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"Colors in the water"

3月28日、29日、30日の3日間、サルキスの"Colors in the water"の説明会を開く。青、赤、黄色の水彩絵の具を水の中に落としていくという一見単純な行為なのだが、その深みはやってみると実感する。インスタント禅だろうか?ぼくはエクスタシーの回路とも結びつけて話してみる。
しかし集まってくれた方たちはみな、この作品の虜になってくれたようで、本当にうれしい。彼らはすばらしいエンジェルたちだ。会期中、エンジェルが別府中で増えていったらどんなにすてきだろう。


30日の夜、ラニ・マエストロが到着。会いたかったけど、次の日、つまり今日が東京なので、再会はお預けにする。福岡経由で東京に戻り、明日は福岡だ。
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吹き込まれる命

昨夜、「わくわく混浴アパートメント」が展開をはじめた清島アパートに行く。

行ってみて我ながらまず驚くのは、あの建物の空気そのものが違ってしまったことだ。そんなことは当然予想もつくし、口ではいくらでもしゃべれるのだけれど、なんというか、空気が流れていて、心理的というよりも物理的に、即物的に、空気が以前と違うのだ。「建築」とか「建物」ということの基本を考えてしまって、言葉もなかった。
息が吹き込まれる。今回はここに集まった人々がアーティストということもあり、イン・スパイア、この古ぼけたアパートに命が吹き込まれる。



骨格は海外アーティストで構成するという基本方針には同意したが、同時に国内の若いアーティストたちに活動の場を与えたいと思ってきた。それも別府出身とか大分出身ということだけにこだわらない、許容量のある枠組みが必要だった。
横浜トリエンナーレ2005のとき、総合ディレクターがアーティストなんだから、ディレクターたちが選んだアーティストが自分たちの作品に、今度は彼らが選んだアーティストを呼び込んできたって良いじゃないかと考えて、こうした展覧会内展覧会的な動きをどんどんと加速させてみたことがある。
もっと言えば、こうした発想の原点には、2002年の帯広『デメーテル』で経験した出来事がある。ある朝会場に向かうと、ケンケンバの白い円が延々と、会場に向かって続いている。だれがこんなうまい誘導策を考えたのか、スタッフをほめようと会場に急いだが、実はこれはたまたまやって来たあるアーティストが、勝手にやったことだった。『デメーテル』という自分たちの「計画」の外で、新たな動きが生まれていくという事態そのものに、私は強く引きつけられた。余談だが、それをやったアーティスト、スズキジュンコもまた、今回の「わくわく混浴アパートメント」に参加していると知って、軽いめまいを覚えもする。

藤浩志を通して、浦田琴恵が桜島の廃業したホテルで興味深いプロジェクトを実行したことは聞いていた。なんかいいなあと考えて、別府でも浦田のような人物に声をかけ、レジデンス的な展開ができると面白いと思った。そのうち遠藤一郎の存在を知り、ではこのふたりをコーディネーターにして、いろいろなアーティストに声をかけてもらったらどうだろうかと考えていく。そして、清島アパートだ。このアパートの「発見」は、大げさに言えば『デメーテル』における「帯広競馬場」の発見くらい大きなことで、この3者の組み合わせ、浦田、遠藤、清島アパートの組み合わせが見えたとき、プロジェクトの骨格が鮮明に頭に浮かんだ。パズルの断片がばしっと納まる。ここまでくれば迷いは消え、すべてを浦田と遠藤、そして現地対応としてはBEPPU PROJECTの坂本倫子に託す。

ディレクターとしてわざと投げ出した結果が、今こうしてかたちになりはじめている。自己組織化の驚きであり、それこそ、こんなに「わくわく」することはない。
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